大関とりを確実にしている関脇栃ノ心(30=春日野)に、ついに土がついた。前日は25戦全敗だった横綱白鵬(33=宮城野)との力勝負を制し12勝目を挙げたばかりだった。

 一転してこの日は、過去の対戦成績こそ5勝3敗ながら西前頭4枚目で、ここまで7勝5敗の正代(26=時津風)。勝負事には、よくありがちなエアポケットに陥りがちな心理状況を、協会トップの八角理事長(54=元横綱北勝海)は読み解いた。

 立ち合う前の仕切り中に、同理事長は栃ノ心の心理を「油断をしているわけではないだろうけど、どうしても昨日(の白鵬戦)とは違う。それで明日(14日目=対鶴竜)も横綱戦。いちばん精神的に危ないところだろう」と指摘。大一番となった白鵬戦に比べ、無意識の中で、集中力など精神的にモチベーションを高めにくい状況を察した。

 図らずも、そんな読みが的中する格好となった。取組後は再び「ホッとしたわけではないだろうが」とした上で「昨日、力を出し尽くしたという感じで、力の入れ方とか気合の入れ方が、どうしても違ってくる」と精神面を推察。相撲内容を「右を差せずに焦り、我慢しきれずに(突進するも)足を送れなかった。気持ちが左上手、右差しに分散して、どっちつかずだった」と分析した。一方で「また明日、横綱戦。明日勝てばいいだけの話で、対横綱ということで黙ってても気合が(自然と)入る」と、栃ノ心に再びスイッチが入ることを予見するように話した。