関脇栃ノ心(30=春日野)の大関昇進が事実上、決まり、師匠の春日野親方(56=元関脇栃乃和歌)も感無量の様子だった。

 初日から12連勝しながら連敗で迎えた千秋楽。この日の朝稽古後、師匠は愛弟子に向かって「3連敗したら(大関候補に)名前が挙がらないぞ」とハッパをかけた。この日の勢戦は、本来の右四つ、左上手の形で寄り切ったが「(腰が)高いといえば高い。見ててヒヤヒヤした」という。13日目の正代戦で右肘を痛め、苦しい最終盤。連敗ショックもあったが「痛いだろうけど、よく頑張った」と目を細めた。

 2003年に先代春日野親方(元横綱栃ノ海)の定年に伴い、竹縄から春日野に名跡変更し名門の部屋を継承。「引き継いだ頃は(重圧は)もちろんあった。ただ、どこにも負けない稽古をやらせたつもり」という自負がある。栃ノ心の大関昇進は、部屋にとっては62年(昭和37)夏場所後の栃光&栃ノ海のW昇進以来、56年ぶりの慶事。「稽古はうそをつかないということを、さらに思った」と実感を込めた。

 自らも現役時代、大関とりのチャンスはあった。「だいぶ前のことで忘れたけど、気合が入りすぎてケガをした」という苦い思いから栃ノ心には「もうちょっと稽古をしたかっただろうけど、止めさせた抑え気味にやらせた」という。今後に向けては「ここぞ、という相撲で(星を)落とさないこと。どちらかといえばカーッとなる性格だから(感情を)表に出さず冷静にね」と話した。