関脇栃ノ心(30=春日野)が大関昇進の伝達式を翌日に控えた29日、都内の同部屋で取材に応じた。大関の意気込みを述べる口上は「自分の気持ちを伝えたい」と宣言。ジョージア出身のため、苦手な日本語克服にローマ字で書いた口上を徹夜覚悟で覚える。また栃ノ心の取組に懸賞を出している日本コカ・コーラが、懸賞本数増や化粧まわし作成を検討していることが判明した。

 栃ノ心はもうドキドキしていた。翌日に迫った伝達式、そして口上。「楽しみですけどだいぶ緊張します。相撲よりもね」。イメージトレーニング? で、先輩力士の動画を何本も見た。「稀勢の里関の横綱の分とか。みんな固まってますね。“こりゃやばい”なって、緊張が増えました」と硬い顔で笑った。

 日本語の会話はOKだ。冗談も言えばツッコミもする。ただ「全然読めない。ローマ字で書いて覚えます。今晩寝ないかもね」。中身に「四字熟語は入れるか」と問われて「?」。四字熟語という言葉の理解も微妙で「そんな長いの無理。自分の気持ちだけ、しっかり伝えたい」と話した。

 周囲も盛り上がっている。栃ノ心が缶コーヒー「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」が好きなことを知り、15年春から差し入れている日本コカ・コーラがこの日、部屋に“エメマン”900本を届けた。同社は栃ノ心の取組に懸賞もつけている。担当者は「懸賞本数を(1本から)秋場所で増やすことを検討しています」と話す。社内では他に化粧まわし贈呈などの話も持ち上がっているという。お祝いムードが高まる中、今日、大関栃ノ心が誕生する。【加藤裕一】