大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が30日、名古屋市の二所ノ関部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、新入幕の琴恵光と10番取って全勝だった。

 188センチ、178キロの稀勢の里は身長で11センチ、体重で41キロ上回る体格差を生かし、大きく土俵外へ吹っ飛ばす場面もあった。それでも前日29日に5勝4敗と苦戦した西前頭15枚目の竜電に続き、この日の琴恵光も東前頭14枚目と、名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)で対戦する可能性は極めて低い。初日まで約1週間と迫る中、三役をはじめ幕内上位と稽古を行わずに2日間の連合稽古を終えた。

 見守った解説者の舞の海氏は、稀勢の里が琴恵光を指名したことについて「あれっ? と思った。(琴恵光相手だと)多少、不利な体勢になっても体力で勝てる。もっと上背のある相手、馬力のある相手とやって残してみるとか、そういう稽古を見たかった。『名古屋場所に出るんだ』という稽古ではなかった」と、初日を約1週間後に控えた稽古としては物足りなかったと説明した。

 師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)も「今日の相手は、やりやすい相手」と、勝敗は調子を計る指標とはならないと強調。竜電に苦戦した前日よりも、得意の左を使えていたが「相手が相手だから。もう少し相撲を取らないと」と、名古屋場所出場にゴーサインとはいかない様子だった。

 稀勢の里はこの後、熱田神宮での奉納土俵入りに参加した。約5000人のファンが見守る中、太刀持ちに輝、露払いに竜電を従えて土俵入りを披露した。だが稽古後に「まあ」と、答えになっていない答えをしたのに続き、報道陣の質問には回答せず、名古屋場所出場を明言することはなかった。