春場所での付け人への暴力行為により夏場所出場停止処分を受けた西幕下49枚目貴公俊(21=貴乃花)が、東幕下49枚目琴欣旺(31=佐渡ケ嶽)を破って謹慎明け最初の取組で白星を挙げた。

 自身初の全休を経験しての名古屋場所。「気合を入れすぎました」と、しこ名を呼ばれて土俵上に上がろうとした際に右膝が外れてしまった。まさかのアクシデント発生だったが、土俵に上がる階段横の土手に手をついて右膝を回す応急処置で対処。立ち合い、アクシデントを感じさせない鋭い踏み込みから、左四つになって一気に寄り切った。

 館内には大きな拍手が鳴り響いた。「久しぶりに緊張しました。(休場は)1場所だったけど懐かしい感じがした」と感慨にふけった。自身の不注意が招いた出場停止処分だっただけに、やるせない思い、自分へのいらだちなどもあったというが、この日ばかりは白星という結果に安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 向正面の審判を、師匠の貴乃花親方(元横綱)が務めていたが気にはしなかった。今は目の前のことよりも、これからのことで頭がいっぱいだ。「結果を残して残念な気持ちにさせた親方、ファンの方に恩返ししたい」。まずは勝ち越し。さらに幕下優勝も狙う。