大相撲の前頭北勝富士(26=八角)が、出身の埼玉・所沢市で行われた夏巡業の朝稽古で、横綱鶴竜から“かわいがり”を受けた。

 ぶつかり稽古で約8分間、胸を借り、何度も土俵を転がされた。最後は息も絶え絶えとなったが、それまで静まっていた場内が「北勝富士頑張れ!」という大声援に包まれた。稽古終了後には「鶴竜ありがとう」という声援も飛んだ。

 北勝富士は「きつかったですね。土ぼこりが鼻や口に入って、くしゃみが止まらない」と苦笑いを浮かべたが「横綱に胸を出してもらえてよかった。スタミナと押す力がつく。ぶつかり稽古は、きついけど効率のいい稽古でもあると思う」と、感謝しつつ、今後に生きると確信した様子だった。鶴竜も「地元の力士がいれば、最後にぶつかり稽古で胸を出すのが巡業の盛り上がるところ。お客さんに喜んでほしいし(北勝富士に)強くなってほしいからね」と話し、北勝富士の頑張りを認めていた。

 今回の巡業中に、北勝富士は同じ学生出身力士で同期でもある、関脇御嶽海らと一緒に食事に出掛けたことを明かした。御嶽海は7月の名古屋場所で初優勝を飾っただけに「自分も優勝できるという希望を、彼のおかげで持つことができた」と、遠かった優勝という大きな目標が、具体的にイメージできるようになったという。また、名古屋場所では最後まで豊山、朝乃山という学生出身の若手が優勝を争う展開となった。「この波に置いていかれないよう、また、引っ張っていけるよう頑張らないといけない。学生出身は寿命が短い。どれだけ短期間に上がっていけるか、力をつけられるか」と、活力にしていた。