栃ノ心がかど番を脱出した。阿炎のもろ手突きを受け止め、長いリーチで下手をつかんだ。次いで右も入ってもろ差し。粘る相手を下手投げで仕留めた。

「足の状態も悪いし調子は良くなかった」。場所前の申し合い稽古で勝てず、自信をなくした。6勝4敗で迎えた11日目の朝には「こんなに勝ち越しを気にするのは初めて」と不安を吐露していた。この日、支度部屋に戻ると「良かったね。ほっとしたよ」と口を開いた。2連敗中だった前日までの鬼気迫る表情は一変、満面の笑みが広がった。