貴乃花親方(46=元横綱)が1日、貴乃花応援会公式サイトを通じ「皆様への感謝と、貴ノ岩の思い出」と題したメッセージを発表した。その中で、同親方はこの日、日本相撲協会の臨時理事会で、自身の退職と部屋の力士ら10人の千賀ノ浦部屋への所属先変更について審議される状況の中「大相撲は不滅です。土俵は必ず日本国の遺産として遺ります」と大相撲への熱い思いも訴えた。また部屋で最初の関取になった貴ノ岩(28)が2009年(平21)11月場所で三段目優勝した時に、妻でおかみさんの花田景子さん(53)に電話して号泣したことも明かし、貴ノ岩と所属先変更を希望する千賀ノ浦部屋への支援を求めた。

貴乃花親方はメッセージの冒頭で「皆様へ 大相撲ファンの皆様の辞めるなの声も受け入れず突然の引退会見をし、ご心配をかけてばかりの人生で申し訳ない事ばかりです」と、引退会見に端を発した一連の動きに関して謝罪した。

その上で「しかしながら弟子たちの将来の展望が楽しみでなりません。厳しく育ててきて、ここで師匠が引退してしまう事態になり、可愛い子には苦労をさせろ、ということになってしまいました。それでも私の弟子たちは真摯に理解をしてくれております」と弟子が自らの決断に理解を示していることを明かし、将来を期待した。その上で貴ノ岩との思い出を綿々とつづった。

「これまでの足跡を思い出すことが多くなりました。私の弟子で最初の関取になったのは貴ノ岩でした。まだ十両昇進も決めていない九州場所で三段目優勝をしたことがありました。優勝を決めた1番の取り組みを見えないところで生で見たいと思い、隠れるように気づかれないように、福岡国際センターの片隅で見ていたことを思い出します。前の日に、負けても勝ってもどうでもいい、悔いのないように戦いなさいと言って、その日貴乃花部屋から送り出したことを今も鮮明に覚えています。それで優勝をしてくれて感無量でした。優勝を決めた瞬間、自家用車の中に閉じこもってまず家内に電話しました。"バスカが優勝したよ"その報告をしたくて電話したのですが、家内の声を聞いた時に恥も知らず私は号泣してしまいました。バスカとは貴ノ岩の愛称です」

貴乃花親方は、日本に相撲留学をした直後に両親を亡くした貴ノ岩が入門する際、父親になる覚悟を決めたことも明らかにした。そして、相撲人として国籍に関係なく人々から愛される人間になるよう、指導を続けたとつづった。

「日本に相撲留学をし、その直後に両親を亡くされ、この子のお父さんにならなければいけないと信念を固め、入門をしてくれてありがとうと思ったことも懐かしい思い出です。貴ノ岩を育てるにあたり常に言ってきたことは"モンゴル国民の方々、日本国民の方々から賞賛していただける相撲人になりなさい"これだけを執拗に教えてきました。相撲人とは国籍関係なく、人々から愛される人のこと。そういうことなんだよ、モンゴル人だから日本人だからは二の次であり、いずれ本国に帰ったならば、モンゴル国民の方々から必要とされる人になりなさい、そういう器量のある人になってもらいたいと、それだけを願いながら育ててきました」

そして最後に、大相撲ファンに熱い思いを訴えた。

「大相撲ファンの皆様、貴乃花部屋の支援者の皆様の貴乃花へ対するご厚情には感謝の言葉しか見当たりません。大相撲は不滅です。土俵は必ず日本国の遺産として遺ります。どうか千賀ノ浦部屋のご支援ご後援を賜れますようにお願い申し上げます。また、貴乃花部屋関取第一号であります貴ノ岩を末永くご指導ご鞭撻賜りますようにお願い申し上げる次第です」(コメントは原文のまま)