大相撲の第54代横綱の輪島大士氏(本名・輪島博)が死去したことが分かった9日、静岡・東伊豆町では秋巡業が行われた。輪島氏と同じ故郷の石川・七尾市出身で平幕の輝(24=高田川)は「小学校にも公民館にも(輪島氏の)額があって一番身近な地元の英雄でした」としみじみと話した。

直近で会ったのは去年の春場所前で、大阪で食事をしたという。輪島氏は13年に咽頭がん手術を受けたため、やりとりは筆談で行われた。そのため多く“語る”ことはなかったというが「『今場所も頑張れよ』と言われた」と明かした。当時の様子については「元気は元気でしたけど、少しやせてたかな」と話した。

しこ名の「輝大士」は輪島氏の「大士」が由来。新十両昇進を確実にした14年秋場所後の千秋楽パーティーで、師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)とともに、パーティーに出席していた輪島氏に相談。「『名前をもらっていいですか』と聞いたら『いいよ』って言ってもらいました」と明かした。読み方は「ひろし」ではなく「たいし」だが「名前負けしないように恥ずかしい相撲を取らないようにしたい」と話した。