第54代横綱の輪島大士さんが70歳で死去し、親交のあった高田川親方(元関脇安芸乃島)は9日、故人をしのんだ。

現役時代の師匠、藤島親方(元大関貴ノ花)が親しかったこともあり、輪島さんには新弟子のころからかわいがってもらったという。「輪島さんは変わった人。他の部屋の親方は、新弟子なんか相手にしないけど、かわいがってくれた。反物をくれたりもした」。

近年は、弟子の幕内力士、輝が輪島さんと同じ石川県出身ということもあり、本場所前は稽古を見に来てくれていたという。

輝が関取になる時は、輪島さんが愛用していた金色のまわしを締め、下の名前「大士」を使わせてもらうことを願い出た。「てっきり、『たいし』と読むのだと思っていたので『たいしをいただいてもいいでしょうか?』と聞いたら『いいよ。でも、これはひろしって読むんだぞ』と」。名前の読みを間違えながらも、怒ることもなく、やんわり指摘され「器の大きな方」とあらためて感じたという。

「横綱なのに、いばりちらしたりしない。人間的にすごい。亡くなった親方(元貴ノ花)と相通じるものがあったのかもしれない」と話していた。