元横綱日馬富士の傷害事件を巡り、被害者で平幕の貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が慰謝料など約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、貴ノ岩側は30日、訴訟を取り下げた。貴ノ岩はこの日、文書で経緯を説明。「母国モンゴルでは私に対する想像を超える強烈なバッシングが始まり、私の家族もモンゴルで非常につらい目に遭うことになりました」などとコメントした。

それに対して元日馬富士側も、代理人弁護士が文書でコメントを発表した。

「裁判所からの連絡により、先般の訴訟が取り下げられたことを知りました。原告代理人弁護士により記者会見までされていたことから、今回の取り下げは大変驚いています。当職らは捜査当初から貴ノ岩関側に謝罪と示談の申し入れを行い(一切、お返事を頂けませんでした)、元日馬富士が略式命令を受けた後になってようやく貴ノ岩関から面談要請を受けた際も、謝罪及び示談協議のため、これに応じたわけですが、そこで貴ノ岩関側から示された金額は3000万円というものでした。しかも、貴ノ岩関側からは、この金額の具体的な内訳と根拠は一切示してもらえませんでした」などと説明。

また貴ノ岩が母国モンゴルでバッシングを受けたなどと文書でコメントしたことに関しては「モンゴルの国民性からして被害者である貴ノ岩関や、ましてやご家族が非難の対象となることは考えられません。SNS等で一部にせよそのような事実があるとすれば、極めて遺憾であり、もとより元日馬富士の望むところでは決してありませんし、貴ノ岩関のために何かできることがないかを真剣に考えたいと申しております」とした。