大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、試練を克服して昨年3月の春場所以来、1年8カ月ぶりの優勝に挑む。九州場所(11日初日)の取組編成会議が9日、会場の福岡国際センターで行われ、稀勢の里は初日に小結貴景勝、2日目に東前頭筆頭妙義龍と顔を合わせることが決まった。前日8日にそれぞれの師匠が明かした通り、白鵬、鶴竜の2横綱は休場。秋場所で9場所ぶりに皆勤し、復活の兆しを見せたばかりの和製横綱に3つの重圧が待っている。

<1>一人横綱 初めて経験する連日の結びの一番。勝敗が今場所の盛り上がりを左右する立場だけに、阿武松審判部長(元関脇益荒雄)も「優勝に絡んでもらいたい。横綱相撲を取ってもらえたら」と、期待を隠さなかった。

<2>鬼門の初日 横綱昇進後、途中休場を含む出場6場所のうち、4場所が黒星発進だ。相手は過去2勝2敗と得意ではない貴景勝。1月の初場所では今場所同様、初日に対戦して敗れ、途中休場に追い込まれる一因となった。

<3>横綱が強い九州場所 1年の総決算の意気込みで各力士が臨む九州場所は、地力に勝る横綱が昨年まで14年連続で優勝。横綱以外は03年の大関栃東までさかのぼる。横綱の連続Vが次に長い3月の春場所でも現在、4年連続でしかない。

通常以上に優勝が求められるような状況だが、この日、福岡・大野城市の部屋での稽古中は何度も笑顔を見せた。四股やすり足などで汗を流し、場所前の稽古を打ち上げ。報道陣には無言だったが、重圧すら楽しむような一皮むけた姿を見せていた。【高田文太】