疲労困憊(こんぱい)と引き換えに、今度は我慢比べに勝った。13場所ぶりの関取復帰場所となった東十両13枚目の豊ノ島(35=時津風)が、4勝目を挙げた。

東西13枚目同士の対戦で、新十両の極芯道(22=錦戸)と当たった。幕下時代の今年夏、秋場所と2度の対戦では、最初が2分半を超し、次も2分近い相撲の末に「あり地獄にはまった」と表現するような、長い相撲の末に敗れ「苦手なタイプ」と話していた。

この日も頭をつけ合う手四つの体勢から、何度も打開しようと突き放したり、もろ差しを狙おうとして“時短相撲”で勝負を決めようとした。だが、そのたびに極芯道も重い腰で粘り、3分近い相撲になった。何度目かの仕掛けで、右おっつけから相手を突き上げ、体を崩して右から「これでもか」とばかりに強烈な突き。上体が浮いた158キロを、最後は押し倒した。

開口一番「疲れた~」と、ため息をついた。長い相撲を取った上に、負ければ連敗となる一番を制し、前半5日間を終え4勝1敗。勝と負けるとでは大違いの相撲をものにした安堵(あんど)感で、冗舌ないつもの口ぶりも戻った。

「よく我慢した。いや、我慢したと言うより、我慢できなくて攻めたらという感じかな。(最後は)押したとき、相手がグッと下がって体が流れたから、ここぞとばかりに行きました」。

今場所初黒星を喫した前日は取組後、部屋に戻る前に験直しの、3時のおやつならぬ“3時のラーメン”を食した。その験直しもこの日は無用。ただし疲労感はたっぷり残った。「今日が千秋楽ならいいのになぁ。あと10日もあるのか…」とボヤきつつ「まあその10日間、喜びをかみしめながら」と35歳の体にむち打って中盤戦に臨む。