小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が単独トップに立った。全勝で並走していた平幕の栃煌山が負けた直後の一番で、小結魁聖を突き落とした。6日目を終えて小結が全勝で単独トップに立つのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降、93年春場所の若花田以来3人目。横綱不在、上位陣不安定の九州場所で存在感を発揮している。

自身の初日からの連勝記録を6に伸ばしても、笑みさえ浮かべなかった。「納得したら終わりだから」。22歳とは思えない落ち着きっぷりで、貴景勝は支度部屋で吐き捨てるように淡々と言った。

体重200キロ超えの魁聖を圧倒した。正面からぶつかり、左に回り込んで左腕を真横に一振り。魁聖の右腕付近から突き落とし、一撃で両手を土俵につかせた。「どこも取らせたくなかった。相手の形になると勝てない」とまわしを取らせないことにこだわった。

単独トップに立ったが、気持ちはぶれない。それどころか日々、自分自身への厳しさは増している。横綱不在となり、一気に注目の的となったが「相撲は6日で終わりじゃない。倍以上あるから全く関係ない。何も考える必要はない」とまたも、淡々と答えた。

旧貴乃花部屋から所属先が変更して初めての本場所。稽古内容も生活様式も何もかもが変わった。それでも「いつまでたっても前の部屋がどうとか言ってられないし、もう慣れた」と自分に言い聞かせるように話した。まず目指すは、ストレート給金。2桁白星。そして初の…。目の前のことに全力で挑む若武者が、一年納めの場所を引っ張る。【佐々木隆史】