大関栃ノ心(31=春日野)が何もできずに5敗目を喫した。優勝争いトップを走る小結貴景勝に、立ち合いで左前まわしを狙ったが、すさまじい当たりに触れただけ。一気に体勢を崩され、後退し、2発目の当たりで腰から崩れるように土俵を割った。

不振脱出へ。この日の朝稽古から内容を本来のスタイルに戻した。春場所から体調を考え、若い衆への胸出し中心だったが、同部屋の栃煌山、碧山との申し合いを再開した。場所中に相撲を取るのは4場所ぶりで、8番とって3勝5敗。本番さながらの激しさで、大汗をかいた。「本当は昨日からやるつもりだったけどね。チャレンジ。場所に入って、立ち合いで当たれていない。ぶつかり稽古で胸を出すのは、また(意図が)違うからね」と狙いを説明していたが、この日に限れば成果は出なかった。

対戦成績も1勝4敗と分が悪かった相手に完敗を喫した。支度部屋では「相手の当たりは低かったか?」との問いに「覚えていない」と答えたぐらいで、終始言葉少な。股関節を痛めた可能性もあり、左脚付け根を押さえ、顔をしかめる場面があった。4勝5敗で残り6番。豪栄道、高安の2大関との対戦が残るだけに、負け越しもちらつき出した。