ケガから復帰し関取としては16年夏場所以来、15場所ぶりとなる本場所の土俵に上がっている東十両13枚目の豊ノ島(35=時津風)が、早くも勝ち越しを決めた。

関取としての勝ち越しは、16年初場所(東前頭7枚目で12勝3敗)以来、17場所ぶりだ。

幕内も含め初顔合わせとなる西十両9枚目の千代ノ皇(27=九重)と対戦。「(相手は)ガチガチの右四つだから左を差すことを頭に入れて」と話すように、押し込みながら左を入れると「自然ともろ差しになれた」と得意の2本差し。休む間もなく一気に寄り切った。

久々に8番勝っての勝ち越し。「今日は少し緊張した。ひと味違うし特別感はある」といいながら、感慨に浸ることもなく、どちらかといえば涼しげな表情。それは「思ったより(11日目は)早かったけど、験のいい九州だし、十両だし。勝ち越しだけ考えれば自信はあった」というプラス思考の裏付けから。白鵬に優勝決定戦で敗れはしたが10年の14勝1敗など、九州場所は過去16場所で勝ち越しは14場所。また出場した過去5場所の十両では優勝2回、11勝4敗が2回、残りも8勝7敗で全て勝ち越し。そんな、体が覚えている好材料のデータを「プラスに考えて」(豊ノ島)臨んでいるからこそ、もろ手を挙げて喜ぶほどではないのだろう。必然の結果ととらえ、さらに目標を再設定した。

3度目の十両優勝がそれ。「顔つきと体だけオッサン。相撲内容は若々しい」という元気印で、残り4番に臨む。2敗で単独トップの照強(23=伊勢ケ浜)を5人で追う。顔ぶれは若手がほとんどだが「勝ち越しは決まったから全然意識してやりますよ。もちろん全部勝って(番付が8枚上の照強と)対戦があれば、引きずり下ろすようにしてね」と意気盛んに場所を後にした。