再十両2場所目の西十両5枚目の豊ノ島(35=時津風)が、東十両6枚目の白鷹山(23=高田川)と対戦。押し出しで敗れ黒星スタートとなった。

十分に踏み込んでの立ち合いで、右は窮屈ながらこじ入れ、得意の二本差しで寄りたてた。自分より身長で20センチほど高い相手を攻め込んだ後、タイミングを見計らったように体を右に開き、右ですくってから肩すかしで引いた。だが白鷹山も、予期したかのように残し、逆に腰を密着させながら寄り返した。突いて押された豊ノ島は完全に劣勢に回り、向正面で右に回り込んで何とかしのごうとしたが、距離を置かれたまま押し出された。

得意の勝負手に持って行ったことには「攻めていったけど相手(の腰)が重かったから『よしっ、このタイミングだ』と思って決め技の肩すかしを打ちにいった」と振り返り「でも相手はグラッときたぐらいで、思ったより決まらなかった。落ち着きすぎたのかもしれない」と悔いを残した。ここまで通算578勝を挙げている豊ノ島だが、決まり手の1番は寄り切り、2番は押し出し。ここまでは“マルチ型”の力士としてはノーマルだが、3番目に「肩すかし」が33勝と、本人が「決め技」と話すように異彩を放っている。ただ2年続いた幕下生活で、決め技を出すことはなく、最後に肩すかしで勝ったのは平幕時代の15年秋場所4日目の臥牙丸戦。「タイミング的には悪くなかったけど、ずいぶんと肩すかしはやってなかったからな」と豊ノ島。器用さを捨て、前に出る相撲を思い起こしてくれたのが苦節の幕下時代だった。「幕下に落ちている間に、前に出る相撲を勉強したはず。結局は前に出ろ、ということなんでしょう。もう1回、反省して明日から初日と思ってやります」と仕切り直しを自分に言い聞かせていた。