若手のリーダーを自負するプライドか。稀勢の里を破った御嶽海の第一声は反省の弁だった。「立ち合いがよくない。もっと踏み込んでも良かったと思います」。右脇を厳しく絞り、横綱得意の左差しを許さなかった。機を見て巻き替え、右を差し込み、攻めに転じると、両はずで押し上げ、一気に勝負を決めた。

1月4日、初詣は恒例の浅草寺に出向いた。おみくじを引くと「吉」。「でも、書いてる内容がすごく良くて、大吉以上の感じだったんです」。実は昨年も「吉」。果たして名古屋場所での初優勝があった。

番付は関脇から小結に後退したものの、三役は連続12場所目。初日、進退が取りざたされる稀勢の里との結びの一番は注目度抜群で、懸賞が55本もついた。「異様な空気だったので、その中で勝ったのは気持ち良かった~」。大関とりを狙う年は、最高のスタートとなった。【加藤裕一】