昨年の九州場所で初優勝した新関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が、新年幸先よく勝利した。三役経験もある平幕正代(27=時津風)を突き出しで破った。大関とりも期待される19年、重圧がかかる中で2場所連続優勝へ弾みをつけた。横綱白鵬、鶴竜も白星発進。高安、栃ノ心、豪栄道の3大関はそろって黒星スタートとなった。

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縦3・17メートル、横2・28メートル。巨大な自身の優勝額が国技館に掲げられる中、貴景勝が関脇に昇進して初めて勝ち名乗りを受けた。「もう終わったことなので」と初優勝の充足感は引きずらないが、約2カ月ぶりとなる本場所の大歓声は心地よかった。「やっぱり土俵の雰囲気は稽古場とは違う。あの緊張感や空気が合わさったときに自分も力を発揮できる」。表情に笑顔はなく、淡々と言葉を並べた。

5連勝中と得意にする正代に、立ち合いは押され気味だった。かち上げにひるみ、わずかに後退したが「自分は器用じゃないのでこれしかない」という突き押し相撲は健在。間合いを空けず、下から突き上げて正代の上体を起こした。反撃の猶予を与えず一気に突き出した。「後半は良かったけど、前半はちょっと」と立ち合いで勝負を決められなかったことを反省。それでも「向こう(正代)もそんなに甘くない。白星につながったのは良かった」と結果にはうなずいた。

新関脇の初日は直近20人で勝率3割。先場所を制して重圧も掛かる中「どれだけ精神力を持っているか試されているので、自分の中で怖さも楽しみもある」と強気に構える。今場所から銀色の締め込みに変更し、心機一転を図った。大関とりの可能性もある今場所。1場所15日制になってから、小結優勝を果たした力士は6人中5人が大関以上に昇進している。

「力士をやっている以上、上の番付を目指すのが当たり前」。三役で3場所33勝以上が大関昇進の目安だが、先場所は横綱白鵬、鶴竜が休場している。今場所の横綱戦での結果と内容がカギになる。「いつも通り変わらずやっていくだけ」。マイペースを貫いた先に、大関昇進が見えてくる。【佐藤礼征】