小結御嶽海(26=出羽海)が、初の横綱戦2連勝でロケットスタートを決めた。初日の稀勢の里に続き、この日は鶴竜を一方的に攻めて押し出した。昨年は名古屋場所で初優勝を飾ったものの、横綱には1年間で1勝6敗。わずか2日で昨年を上回り、若手のリーダーとして存在感を見せつけた。横綱、大関の上位陣で2連勝は白鵬1人だけとなった。

御嶽海の技が横綱をしのいだ。鶴竜のはず押しを、両手で下からあてがい、じわっと前に出た。体を起こして、押し出した。「前に出られましたね。(はず押しに)うまく反応できました」。初日は稀勢の里の左差しを強烈なおっつけで封じ、押し出した。攻防一体。2日とも横綱にほぼ何もさせなかった。完勝で、自身初の横綱戦2連勝を飾った。

御嶽海は「ずっと平常心でいきます。気持ちを切り替えて、また明日」と言った。浮かれず、自分に言い聞かせるように話すのは、培った経験があるからだ。横綱戦は不戦勝1つを除き、9勝20敗。対戦が始まった16年は6戦全敗、17年は6勝9敗と手応えをつかみながら、昨年は初場所の鶴竜戦1勝後に5連敗。初優勝を飾った名古屋場所は3横綱休場で対戦がなかった。17年春場所から12場所連続で三役の座を守る。20代力士では大関10場所目の高安を除き、文句なしの安定感と実績で「若手のリーダー」の自負を口にするのは当然だが、自分でも物足りなさを感じているはずだ。

大関以上の2連勝は、早くも白鵬だけ。2連勝組には先場所優勝の貴景勝、錦木、北勝富士、阿武咲、豊山ら若手が目立つ。「そこは特に意識しません。自分の相撲を取るだけです」。場所前の稽古は数字上、精彩を欠いていた。7日の稽古総見は5戦全敗。8日の春日野部屋との合同稽古は栃煌山、碧山の平幕2人に10戦全敗。ところが、本場所になると別人になる。いわゆる“場所相撲”でマイペースを貫き、白星を重ねるつもりだ。【加藤裕一】