御嶽海の相撲は完璧だった。

玉鷲の突き、押しを慌てずしっかり受け止めて、常に玉鷲の体を自分と正対させた。右が入ると迷わず左はおっつけながら一気に出たから、玉鷲に反撃のすきを与えない。この四つの形も、前日の貴景勝戦でも感じたが「四つ相撲の力士だったかな」と思うぐらいうまくなった。5連勝の要因は、貴景勝の存在にあると思う。先場所、優勝した貴景勝に関脇の座を明け渡したが「若い世代のリーダーはオレだ」という自負があるのだろう。初優勝も名古屋で先に経験し、関脇や三役在位数も自分が上。大関への挑戦も昨年、経験済みだ。あの時、すんなり大関の座をものにできなかったのが、精神的にいい勉強になり、相撲の幅も広げられたと思う。優勝争いは白鵬対若手の構図になってきた。阿武咲らも含めた若手のリーダーと自認して欲を出して突き進んでほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)