先場所優勝の新関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が関取最重量の逸ノ城を押し出し、2敗を守った。阿武咲は今場所初黒星を喫し、全勝を続ける横綱白鵬が単独トップに立った。

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200キロを超す巨漢力士を相手に、身長の低い押し相撲の2人が好対照の相撲を取ったな。全勝で来た阿武咲は、辛抱しきれず引いて魁聖に突き出された。大きい力士相手に当たってから休まず突き放して、その後で横から攻める流れになれば勝機はある。結論からいえば、まだ当たりが弱いということ。これでは重さのある実力者は微動だにしない。同じ押し相撲でも貴景勝に比べると、まだ軽いという印象だ。

その貴景勝はよく「引いちゃ駄目」という言葉を口にする。それを阿武咲はかみしめるべきだ。押し切れるという自信が貴景勝にはあるのだろう。逸ノ城に相撲を取らせず押し切った。相撲の流れで突いたり、いなしを出すが、それも最初に押し込んでいるから生きる。阿武咲と相撲の幅に差があるのはそこにある。ただ阿武咲も素材はいい。次代を背負う白鵬への挑戦者決定戦ともいえる対戦が8日目に組まれた。楽しみにしたい。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)