また1人、かつての“戦友”が土俵を去った。再十両2場所目の西十両5枚目の豊ノ島(35=時津風)が、連日の筆頭との対戦で東十両筆頭の大翔鵬(24=追手風)と対戦。押し出しで快勝し、4連勝で勝ち越しに王手をかけた。

この日午前、東十両12枚目の豪風(39=尾車)が引退を表明した。初土俵は自分の方が2場所早いが、学生横綱の資格で幕下15枚目格付け出しデビューの豪風は、常に背中を追う存在だった。新十両は10場所、新入幕は9場所の後れを取ったが、新三役は自分の方が一足早く07年夏場所に昇進(豪風は08年春場所)。三役在位や三賞、金星など幕内での実績は開きをつけたが、4歳年上で突進相撲の豪風との対戦は「苦手意識ばかりで勝つのはたまたま。どうやって行っても向こうの相撲にはまってしまっていた」と通算9勝18敗(うち十両で1勝0敗)の対戦を振り返った。

「残念ですね。安美関(安美錦=40歳)もそうだけど、タケさん(豪風)も(今年6月で)40歳でしょう? その年までできるというのが本当にすごい」と、あらためて息の長さに敬意を示した。これで現役では十両安美錦(40=伊勢ケ浜)、幕内の嘉風(36=尾車)に次いで3番目の年長関取。「そうか、ベスト3に入っちゃったか」と話すが、相撲そのものは「今日もオジさんの割には足がよく出て(相手の引きに)ついていった。右ハズもいいところに入ったし、押し相撲の基本みたいな相撲」とこの日の一番を自画自賛。アキレス腱(けん)の大けがで2年間、幕下生活を過ごしたことが、逆に相撲に関しては若さを呼び戻したようだ。「ケガする前は、基本は受け身だった。それが(幕下に落ちて)踏み込むようになった。そこがプラスアルファ。自分の強みになった」と言う。勝ち越しまで1つ。その先の再入幕も見えてきた。