左膝付近の負傷で7日目から休場していた小結御嶽海(26=出羽海)が、全勝で42回目の優勝へ突っ走っていた横綱白鵬を押し出した。休場明け最初の取組で、横綱を倒すのは52年初場所の横綱東富士以来67年ぶり。

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白鵬からすれば、御嶽海があんなに前に出てくるとは思わなかっただろう。休場明けの相手だ。変化はないだろうし、そこまでの圧力もない、というのが頭にあったはず。あれやこれやと気を回しすぎたのかな。それが、ここまでの立ち合いの踏み込みを奪った。突き返した時は上体が起こされて突っ張りきれない。前傾姿勢の御嶽海に防戦一方では、いくら運動神経のいい白鵬でも対応できない。気がつけば土俵を割っていた、という感覚だろう。元気いっぱいの御嶽海とやっていたら、また違う展開になったはずだ。

これで玉鷲が1差。よもや1差で今日の白鵬戦を迎えるとは思わなかったろうが、ここは欲を出さず関脇として10勝、11勝と星を伸ばすための一番、という気持ちで向かってほしい。34歳でケガなく突き押しに徹する相撲は尊敬に値する。最年長大関を目指すつもりで土俵を沸かせてほしい。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)