昨年12月の大相撲冬巡業中に、付け人に暴力を振るった責任を取って引退した元前頭貴ノ岩のアディヤ・バーサンドルジ氏(28=貴乃花→千賀ノ浦)の断髪式が2日午前11時から、東京・両国国技館で行われ約370人が、はさみを入れた。最後に師匠だった千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が、止めばさみを入れた。

同郷のモンゴル出身横綱の鶴竜(33=井筒)も、終盤に出席し、はさみを入れた。一昨年10月、元横綱日馬富士による傷害事件で被害者だった元貴ノ岩。その現場にいながら暴行を止められなかったとして、鶴竜は横綱白鵬(33=宮城野)とともに減給処分を受けていた。

はさみを入れた後、鶴竜は取材対応。不祥事で土俵を去ることになったモンゴルの後輩について「それだけ責任のある位置にいたし、仕事をしていたということ。あらためて悔しいという思いは自分が一番、分かっていると思う。彼の人生の中で大きな勉強になったと思う。人間、どこでどう変わるか、何があるか分からないのが人生。偉そうには言えないけど、頑張って、この経験を第2の人生に生かしてほしい」と、励ましの言葉を送った。はさみを入れる際は、肩にそっと手を触れ「お疲れさん。また会おう」と声をかけたという。

1月の初場所は5日目まで2勝3敗。「右距踵関節損傷、右踵骨骨挫傷により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出し6日目から休場した。ケガの回復具合は「だいぶいい。かかとに水がたまっているけど、いずれ抜けると思う。体も動かして四股も踏んでいるので、あとは土俵の中で、もっと稽古したい。やっぱり足は大事。常に負荷をかけていないと筋肉が落ちるのが早い。1月(初場所)はそれが足りなかった」という。発奮剤は、同じモンゴル出身の関脇玉鷲(34=片男波)の初場所初優勝。両国国技館の天井近くには四方に32枚の優勝額が飾られている。1月の初場所、3月の春場所の優勝力士の額は、5月の夏場所初日に2枚同時に掲額される。「(玉鷲の優勝額の)隣にオレの写真(優勝額)を5月にかけるという、目標がまた出来た。気合を入れて、変に空回りしないように」と話して両国国技館を引き揚げた。