角界入りする海洋高の大場健太(3年)が21日、入門する大嶽部屋の大嶽親方(58=元十両大竜)と同校で会見を開いた。フィリピン人を母に持つ173センチ、135キロの巨漢で、持ち味は突き押し相撲。3月2日に新弟子検査を受け、晴れて大相撲の世界に入る。同校では過去、中途退学して力士になった例はあるが、卒業生(予定者)が各界入りは初めて。

   ◇   ◇   ◇

学生服のボタンが飛び散りそうなほど、分厚く鍛え上げられた上半身。口元をきつく結んで、大場は言った。「空から見守っているお父さんに心から(角界入りを)伝えたい」。父富美雄さん(享年69)は、昨年9月に脳出血で亡くなった。大相撲が大好きで山潟中時代に相撲を強く勧めたのも父だった。「大相撲に行くことは、中学時代から自分の中では決まっていた」。

強い相撲に触れるために大場は相撲の強豪・海洋高に進学した。「遅れてきた選手」だった。というのは同校は隣接する能生中と合同練習している。有望選手は能生中に入学し、海洋高に進むのがパターンだった。中高6年間、一緒に寮生活しながら相撲に取り組んでいる。だからこそ3年間の“ブランク”がある大場には逆に伸びしろがたっぷり。「高校入学時は相撲を知らなかった。稽古次第では上位に上がれる」と村山智明監督(40)は期待した。

入学時は100キロ程度だったが、卒業を迎え、35キロ増量した。昨年8月の全国高校総体(インターハイ)では団体戦の決勝トーナメント進出に貢献。高岡向陵(富山)、野村(愛媛)、高千穂(宮崎)との予選で3戦全勝した。同決勝トーナメントと国体はメンバーから漏れたが173センチ、135キロの体を生かした突き、押しが武器。「入門したら頭から突っ込む稽古を積んで突き押しを徹底したい」と意気込んだ。

大嶽親方は大場との出会いを明かした。「海洋の稽古を見学した時に『声を掛けてくれ』という雰囲気を持っていた。『この子に声を掛けなければ』という気持ちになった」。普段の稽古から気迫を全身に充満させていた証明だ。「いつか強くなって、まずは十両を目指したい」。大場が土俵で第1歩をしるすのは、3月場所の前相撲になる。【涌井幹雄】

◆大場健太(おおば・けんた)2000年(平12)4月25日、新潟市生まれ。相撲は山潟中1年から新潟市相撲教室で始めた。中学では県大会重量級5位が最高成績。好きな力士は高安。173センチ、135キロ。血液型O。

▽海洋高からは過去、中途退学して角界入りした選手が3人(1人は引退)いる。錣山部屋の王輝(22=関川村出身、本名小池一毅・最高位幕下25枚目)と、境川部屋の三段目・田中山(17=東京都出身、本名田中虎之介)。田中山の祖父は新潟県出身の元関脇黒姫山。大場と同時に鳴戸部屋入門を予定していた丸山竜也(3年)は同部屋に暴力、いじめ問題が生じたため、角界入りが少し遅れる。