大相撲夏場所で右膝を負傷した大関貴景勝(22=千賀ノ浦)が、かど番となる名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて始動した。

12日の昼すぎ、東京・台東区の部屋で、夏場所以降初めてまわしを締めて土俵に立った。下半身に負荷をかける四股やスクワットなどで、約40分間汗を流した。時折右膝の内側に触れたり、ほぐすような姿を見せた。

「硬さがある。膝は痛めて周りの筋肉が守ろうとして硬めるので、そこをほぐすのが大変」と状態を説明。痛みは落ちついてきたという。「大関として相撲を取れる段階として、ひとつ上の段階にいった」と前進を感じながら、「(治療や調整が)できなかったら、また来場所(秋場所)までに治してやるってのもある」と、休場も視野に入れながら調整を行う。

夏場所以降は病院の医師、パーソナルトレーナー、膝を専門としたトレーナーとチームを組んで、ほぼ毎日治療やリハビリを行っている。「四股を何百回も踏むとまた炎症が起こるから、その回数もチームの判断でやっている。僕はあくまで素人。自分の判断でやらないようにしている」と、プロの判断に身を任せる覚悟だ。

毎日メニューが配られ、この日、土俵上での下半身を使った運動は四股を左右で計50回、スクワット20回を3セット。「(膝の)状態がいいということで、1週前倒しで四股を踏んでまわしをしめることになった」と、回復は想定を上回っているが「また不具合があったら状況は変わる」と、気を緩めなかった。

チームの方針によると、場所前1週間から10日間のうちに、相撲を取る実践的な稽古を始める予定という。

名古屋場所で負け越すと在位2場所での大関陥落となるが、貴景勝本人は自らを気丈に振る舞った。

「不安とか自分が精神的に追い込まれている感覚は全然ない。(夏場所は)膝、体がちょっと動けなかったけど、中身の部分で成長できた。ここは自分でなんとかポジティブに考えるしかない。変な妄想でやっていくしかない」

角界の主役候補は、25日後の名古屋場所へ前だけを見つめた。