大相撲名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の新弟子検査が1日、同市で行われ、日本人の父とモンゴル人の母を持つ長谷川翼(16=宮城野)ら3人が受検した。横綱白鵬にスカウトされた長谷川は、本籍地こそ千葉・市原市だが、生まれはモンゴル・ウランバートル。「(角界入りは)小さいころからの夢だった。白鵬関や朝青龍関が目標」と目を輝かせた。

幼稚園から小5までは日本で過ごした。千葉・若宮小では相撲クラブにこそ所属していなかったが、小学校の先生の勧めにより5年連続で相撲の大会に出場。関東大会でベスト8の成績も収めた。小6からモンゴルに戻り、中学校3年間はバスケットボール部に所属。高校進学(モンゴルの新学期は9月)も視野に入れていたが、今年5月に横綱から電話で入門の勧誘を受けた。小学校時代から活躍を見ていた柏日体高相撲部で指導者を務める永井明慶氏が、知人の白鵬に長谷川の存在を紹介。長谷川の母子夏さんが永井氏に送った写真を見て、白鵬は「魅力的」と光るものを感じたという。

体重は97キロと細身ながら、長谷川はこの日の新弟子検査でも素材の片りんを見せた。社会人野球も経験した父等さんの身体能力を受け継ぎ、この日は握力測定で右46キロ、左42キロ、背筋力は145キロを計測。いずれも受験した3人でトップだった。ここ1年で6センチ伸びた185センチの身長は、現在も伸び続けており、まさに発展途上だ。

環境面の心配はない。幼少期を日本で過ごした経験や、中学校時代はウランバートルの日本人学校「さくら学校」に通っていたこともあり、日本語は流ちょう。先月11日に滋賀・長浜合宿で行われた合宿にも参加し、部屋の雰囲気にもとけ込みつつあるという。ただ「股割りがきつい」と苦笑い。スタートラインに立ったばかりの16歳は「目標は横綱になること」と、大きな夢を描いていた。