横綱鶴竜(33=井筒)が、7場所ぶり6度目の優勝を飾った。単独トップの1敗で千秋楽を迎え、1差で追っていた横綱白鵬を寄り切って14勝1敗で終えた。6度目の優勝は歴代21位タイ。歴代10位タイの横綱在位32場所目、幕内出場1000回の節目の日に自身の令和初優勝を決めた。

今場所は、初日6日前の今月1日に出稽古した際に腰を痛めた。その後は初日まで、まわしを着けることさえできなかった。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)が「見切り発車だった」と話すなど、状態がつかめないまま初日に臨んでいた。それでも自身初の初日から12連勝を飾った。13日目こそ前頭友風に金星を配給したが、14日目は取組前まで6勝5敗だった難敵の関脇御嶽海を破り、1敗を守った。その取組後は「ここまで来たら、やるだけ。肩の力を抜いていきたい」と、白鵬戦へ静かに闘志を燃やしていた。

白鵬には、取組前まで7勝41敗と大きく負け越していた。互いに優勝の懸かる状況で、千秋楽で対戦するのは、大関時代に優勝決定戦まで持ち込んだ14年初場所、横綱昇進後の同年九州場所、15年名古屋場所に次いで4度目。だがいずれも、優勝は白鵬にさらわれていた。優勝回数は、自身の7倍となる通算42度の白鵬との千秋楽直接対決で、初めて競り勝った。これまで以上に価値ある優勝に、細い目をさらに細めて喜んだ。

▽鶴竜の話 ひと味違った優勝でした。本当に場所前は最後にこういう形で終わると思えない状態だった。たくさんの人に支えられていい成績を残すことができた。名古屋で優勝していなかった。ここ3年、名古屋では途中休場で名古屋の皆さんに申し訳ない気持ちだった。いい報告ができて最高です。