大相撲史上最多の優勝42度を誇る横綱白鵬(本名ムンフバト・ダバジャルガル、34=宮城野)の日本国籍取得が3日、官報で告示された。年寄名跡襲名には日本国籍が必要であり、引退後「親方」として日本相撲協会に残る資格を得た。白鵬は6月にモンゴル国籍離脱を承認されていた。

白鵬はこの日、都内の同部屋で朝稽古後「本日、正式に白鵬翔という名前で日本人として国籍を取得できました。日本人として恥じないように頑張ります」とし「今まではモンゴルが背中にあったけど、2つの国が背中にのしかかってくる感じです」などと心境を語った。「15歳で(日本に)来た時はやせっぽちで全く特別(な力士)ではなかったけど、稽古に稽古を重ねて強くなれました。18年間、相撲一筋でやってきたことが、今日につながったと思います」と感慨深い表情を見せた。

国籍を離脱した故郷モンゴルへの思いにも触れ「人間そのものが変わるわけでない。自分の(生まれた)国を愛せるから、日本を愛せる。両親、兄弟を愛せるから、この国(日本)の人を愛せると思います」と語った。日本への国籍変更は「2、3年前から」(周囲に)相談。昨年4月に他界した、68年メキシコ五輪レスリング銀メダリストの父ムンフバトさんに「わが道を行け」と後押しされたことが大きかったという。

外国出身横綱の日本国籍取得者は、米国出身の曙、武蔵丸(現武蔵川親方)に次いで3人目。モンゴル出身では同国勢初の師匠となった友綱親方(元関脇旭天鵬)らが日本国籍を取得している。また協会は現役で著しい功績を残した力士に対し、現役名で親方となる「一代年寄」を認めるケースがあり、大鵬や北の湖、貴乃花がいる(千代の富士は辞退)。白鵬は申し分ない実績を残しているといえる。

希望する親方への道がひらけた。関取の石浦、炎鵬らをスカウトするなど、その慧眼(けいがん)は証明済みだ。「両方の国と相撲があるからこそ、ここまで来れた。相撲の発展に尽くしたい。今までは自分が相撲を取ることで精いっぱいだったけど(引退後は)強いお相撲さんを育てて、協会やファンの皆様に恩返しをしたい」と話した。