付け人の序二段力士に暴力を振るい、大相撲秋場所を謹慎休場した、西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)が25日、適切な措置を求めてスポーツ庁に上申書を提出した。

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▽貴ノ富士が協会に行った暴行の経緯説明

(平成31年3月場所から再十両となり、付け人がつくことになった。千賀ノ浦親方から付け人に序二段力士(以下A)を指名されたが、「仕事ができないので、本場所にはつけない」との話があった)

「Aには、普段の身の回りのことをやってもらっていましたが、親方が心配した通り、『○○を掃除しておいて』と言っても、忘れてしまうのか、できないことが多かった」

(3月場所で負け越し、幕下転落。5月場所で幕下優勝したので、再び同じ付け人がついた)

「ひと場所空いて、Aはミスがなくなったが、付け人以外の仕事、例えば、ちゃんこ場での食事の準備や掃除ができていなかった。このような仕事は、若い2人の力士も担当していた。この3人は、他の兄弟子や関取衆に言われても返事が出来なかったので、名古屋へ行く前に『返事もできないのか』と言ったところ、すいませんと3人が謝ったので、『先輩たちはみんなお前らのために注意してくれているのだよ』と話しました」

「彼らは、聞こえていなくても、『はいはい』と返事ばかり言っているので、『言っていることを分かっていて返事をしているのか』と尋ねたら、『すみません、聞こえていませんでした』と言い訳をしたので、『それではだめだ』と言って、指導しました。名古屋場所前の2週間、このような同じことの繰り返しが毎日続きました」

「団体生活の中で、先輩から頼まれたことが終わったらこれをやっておいてと言っても、私の依頼を後回しにしたり忘れたりということが3、4日と続き、私も神経質となり、いらいらするようになりました」

「私は新弟子のころに、注意をされたくないから必死に覚えようと毎日努力していたので、Aはどうしたら気付いてくれるか、なんで覚えてくれないんだろうと思い、親方から指導を任されているのに、なかなかうまくいかないので、神経質になっていたところ、次の日のちゃんこ場で、また同じくやらなければならないことができていなかったりと、同じことの繰り返しで三歩歩いたら他のことを忘れている状況でした」

「(8月31日は)稽古総見が終わり部屋に帰った。その時に大体の人は風呂に入って髷も結い直して帰りを待ってくれていました。皆が『お先にお風呂ごっつぁんでした』と挨拶している中で、序二段力士は『ざあす』としか言いません。前から『若い衆が先に風呂に入ったときは、きちんと挨拶しなさい』と言ってあったにもかかわらずです。風呂場で背中を流してもらいながら、いつになったら挨拶するのかと待っていましたが、風呂をあがっても、とうとう挨拶をしません。そこで『挨拶くらいはちゃんとしなさい』と言って頭を拳骨でこつんとしました。決して拳骨で殴ったわけではありません。そもそも若い衆が風呂に先に入るのは当たり前なので、きちんと挨拶するのが礼儀です。部屋でも皆この礼儀を守っています」