初場所で引退した元横綱稀勢の里の引退、年寄荒磯(33=田子ノ浦)の襲名披露大相撲が29日、東京・両国国技館で開催された。荒磯親方は「長年感謝の気持ちを伝えるために『ありがとう』という気持ちを伝えたかった」と話した。

断髪式には演歌歌手の細川たかし、プロ野球の横浜DeNAベイスターズ元監督の中畑清氏、競泳元日本代表の松田丈志氏ら約300人の関係者がはさみを入れた。細川は「夢を与えてくれた素晴らしい横綱だった」と現役引退を惜しみ、中畑氏は「かっこいい終わり方だった」と右手で親指を立てた。

協会関係者では兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)、同じ二所ノ関一門の芝田山広報部長(元横綱大乃国)、親交のある二子山親方(元大関雅山)、稲川親方(元小結普天王)、小野川親方(元前頭北太樹)、現役では白鵬、鶴竜の両横綱、弟弟子の大関高安、平幕の琴奨菊、豊ノ島、歴代横綱では北の富士勝昭氏、石山五郎氏(元三重ノ海)、花田虎上氏(3代目若ノ花)、元横綱日馬富士がはさみを入れた。最後に師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が止めばさみを入れた。大銀杏(おおいちょう)に別れを告げた荒磯親方は「あまり実感が湧かない。(大銀杏は)力士の象徴だと思う。力士を卒業してまた1歩だと思った」と力を込めた。断髪式後は審判部で整髪。新しいヘアスタイルでの生活を「想像もつかない」と苦笑いを浮かべた。

この日は8年前に亡くなった先代鳴戸親方(元横綱隆の里)の誕生日。「横綱の気持ち、精神力を僕が育ったように育ちたい」と、部屋付きの親方として後進の指導にあたる今後を見据えた。