大相撲の秋巡業は10日、千葉市で行われ、9月の秋場所で2度目の優勝を飾った関脇御嶽海(26=出羽海)が、朝稽古で横綱白鵬に胸を借りた。関取衆の申し合いで、前頭朝乃山を破って1番取ったところで白鵬から指名を受け、三番稽古に移行。白鵬には1勝9敗と圧倒された。さらに、最初は前頭正代に胸を借りて行っていたぶつかり稽古でも、2分余り経過したところで正代から白鵬に交代。さらに2分余り、合計で約5分間、砂まみれになって稽古した。

最後は息が上がっていただけに、稽古後の御嶽海は開口一番「体力がないなと、あらためて感じた」と語った。それでも、この日で3日連続で相撲を取る稽古を行い「ちょっとずつね。肌を合わせて」と、九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)に照準を定め、状態も相撲勘も仕上げていくという。

優勝した秋場所の優勝インタビューで、自ら九州場所で大関昇進をつかみ取ることを宣言した。九州場所でそれを決めるには、12勝以上を挙げて優勝争いに絡むなど、高いレベルの成績が求められるが「高いと思いますよ。でも2ケタ(白星)は絶対。最低限でも10番以上勝たないと」と、仮に九州場所後の昇進とはならなくても、来年1月の初場所につなげたい思いがある。昨年7月の名古屋場所で初優勝後に、大関とりがかなわなかった無念さの経験が、慎重さも身に着けさせ、大関昇進への本気度の高さをうかがわせた。

秋場所の優勝インタビューでの宣言については「自分にプレッシャーをかけていかないと。プレッシャーがないと、ただの人間になってしまう」と、真剣な表情で答えた。大関という相撲界の看板力士となる特別な人間にふさわしく、特別な環境を自らつくり出し、それを打ち破ることができるよう、心身ともに一段階レベルアップを図りたい考えだ。

この日の白鵬との稽古でも「少しでも研究できたらと思っていた」と、1勝9敗と圧倒された中でも、相手の鋭い出足への対抗策を試行錯誤した。砂まみれになっても「気持ちいいですね。優勝のお祝いですかね」と、優勝42度の第一人者に感謝した。「(入門から)もう5年目。三役になって、もうすぐ丸3年ですね」。御嶽海は、かみしめるように、そして早く次のステップに進みたい気持ちを示すように、遠くを見つめながら話していた。