大相撲の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が29日、九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)に向けて福岡入り後初めて稽古を行った。福岡・篠栗町の部屋で四股やテッポウなどの基礎運動や、幕下力士に胸を出すなどして体を動かした。

左大胸筋を肉離れした秋場所千秋楽から1カ月余り。途中合流した秋巡業を終えて、28日が休養だったこともあり「だいぶ胸も良くなっている。1日置いたら違う」と回復に向かっていることを明かした。

旧貴乃花部屋から移籍したばかりだった昨年は、宿舎から約2キロ離れた神社の境内に仕立てられた稽古場を使用。今年の稽古場は、宿舎から1分とかからない上、雨風をしのぐ屋内の土俵で、貴景勝も「去年は少し寒かったけど、今年は寒くないからいいと思う」と好印象を抱いた。

段階を踏んだ上で、近日中にも相撲を取る稽古を再開予定。3日後の11月1日には二所ノ関一門の連合稽古が控えており、参加に向けて意欲を示した。

九州場所の出場も、力強く宣言した。「出ますよ。(胸のけがは)膝よりは全然厄介じゃない。再断裂に気をつけながら、パワーアップしてやっていきたい」。右膝の負傷から復活して、大関復帰を果たした秋場所の再現を目指す。昨年は初優勝を果たし「人生のターニングポイントになった」という九州場所。大関昇進を果たした春場所、大関復帰が懸かった秋場所のような「10勝以上」などのノルマがない中で、緊張感を失わないように細心の注意を払う。

「自分にハッパをかけないといけない。火事場のバカ力じゃないけど、せっぱ詰まったときは力が出る。自分なりのルールをつくって臨めたらいい」

目標は2度目の賜杯。「大関に戻ったからには優勝を100パーセント狙わないといけない」と力を込めた。