大関に復帰した貴景勝(23=千賀ノ浦)が、勝ち越しに王手をかけた。初顔合わせの西前頭4枚目琴勇輝(28=佐渡ケ嶽)を下して7勝3敗と星を伸ばした。

稽古でも巡業でも肌を合わせたことがない相手で「本物の初顔」と貴景勝。立ち合い、琴勇輝のもろ手突きをはね除けると、関脇経験者を一気に土俵際まで持っていき突き出した。

一歩的な展開だったが、勝ち名乗りを受ける間に何度か顔をしかめた。左目を赤く腫らして支度部屋に戻ると「入っちゃったみたい」と、取組の中で琴勇輝の突きが接触したと説明した。それでも「全然大丈夫」と、視界に影響はないことを強調。「格闘技の世界だから。その世界にいて(痛いなど)言うべきじゃない」と、アクシデントをものともしなかった。

1敗の横綱白鵬とは2差だが、終盤戦で直接対決が組まれることは確実。優勝争いに食らいつきたい23歳は「星勘定で見られる世界だけど、あと5日じゃなくて明日、明後日としっかりいい準備をするだけ」と、地に足をつけていた。