最強王者の対談が実現した。来年1月4日にタイトル防衛に挑む新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(32)が角界トップに君臨する横綱白鵬(34)と初対談。王者としての共通点や使命、今後の夢などを大いに語り合った。

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白鵬は現役トップという同じ立場のオカダと共感できる部分を模索するように、対談中に独自の感覚、感性を明かした。

特に印象的だったのは「アスリートが『ゾーン』に入ったというけど、決して『ゾーン』ではない」という話だ。全勝優勝した3月春場所で、背後を取られる絶体絶命の体勢から逆転した8日目栃煌山戦、10日目玉鷲戦を振り返って説明。「映像で見返すと動きは速いけど、コマ送りのようにゆっくり、脳が覚えている」と、その時の一挙手一投足を鮮明に覚えていると明言した。

これは「ゾーン」ではないという。「人間は危ない時、集中している時に走馬灯のように感じる」というのが白鵬の持論だ。「川上哲治さんが『ボールが止まって見える』と言っていたのは、それだけ集中していたということ。もし、包丁を投げられたら空振りできない。そういう状態だったのでしょう」。相撲もプロレスも1歩間違えば、大ケガにつながる。その危険と隣り合わせの毎日。オカダも大きくうなずいていたのを見て、トップの技量、責任感の一端を垣間見た気がした。【相撲担当=高田文太】