大相撲初場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた11日、同所で恒例の土俵祭りが行われ、三役以上の力士が出席した。2場所連続となる44度目の優勝を目指す横綱白鵬(34=宮城野)は、初日で新三役の小結大栄翔と対戦。優勝した先場所で唯一敗れている相手に、連敗は許されない。17年以来3年ぶりの年間最多勝を視野に、まずは20年最初の場所で好スタートを切る。

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昨年の夏場所以来、4場所ぶりに東横綱の“定位置”に就いた白鵬は淡々としていた。「(東西で)目線も変わってくるし、土俵入りも変わってくる。その辺を思い出してやっていきたい」。この日は土俵祭り出席後、国技館のエントランス前で九州場所の優勝額を贈呈された。「あとはやるのみです」。スイッチが入ったかのように、緊張感を漂わせた。

初日は突き押し相撲のホープ、大栄翔を迎え撃つ。九州場所では立ち合いのかちあげが不発で、一方的に押し出された。6日の横綱審議委員会(横審)による稽古総見では、三番稽古でその大栄翔を指名して相撲を取った。「いろいろ試してみたかった」と、横審委員から批判を浴びているかち上げを多用。大栄翔の出足を止めて12番を全勝と圧倒し、本場所へのイメージを膨らませた。

白鵬にとって、初場所は年6場所の中で最も優勝回数が少ない。昨年も初日から10連勝と賜杯へ一直線だったが、3連敗して失速すると右膝の違和感などで無念の途中休場。15年以来5年ぶりとなる5度目の優勝を飾り、相性の悪さを拭い去りたい。

「(今年の3月で)35歳になる。35歳で年間最多勝というのがあってもいいのかもしれないね」。年6場所制となった58年以降では、59年に年間最多となる77勝を挙げた34歳の元横綱栃錦が最年長。数々の記録を塗り替えてきた第一人者は、新たな記録をモチベーションに20年を出発する。【佐藤礼征】