日本相撲協会は春場所(3月8日初日、大阪・エディオンアリーナ)の番付編成会議を開き、翠富士(23=伊勢ケ浜)の新十両昇進を決めた。

170センチの小兵は、東京・江東区の部屋で行われた会見に出席し、集まった報道陣を前に「こんなにたくさんの方が集まってくれて『あっ!』となった。実感が湧いてきた」。静岡県出身の力士としては13年春場所の栃飛龍以来となる新十両。「友達や(飛龍高時代の)監督から連絡がきた。(出身の焼津市は)昔から育ってきたところ、地元が大好きなので盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

近大を2年で中退して16年秋場所で初土俵を踏んだ。序ノ口デビューから所要3場所で幕下昇進を果たし、着実に番付を上げてきた。170センチ、107キロと小柄ながら「うちの部屋はがっちり(稽古を)やる。やってきたことが自信につながった」と、猛稽古で力をつけてきた。

東幕下2枚目だった初場所で5勝2敗の成績を収めて、新十両昇進を手中に収めた。会見に同席した師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「立ち合いが良くなってきた。相撲はいなしや技もあるが、それを生かすには最初の立ち合いでしっかり当たらないといけない。それができるようになってきた」と目を細めた。入門から20キロ近く増量したという翠富士は「(幕下上位では)圧力負けすることが多かったので、ご飯を食べる努力をした」と胸を張った。

幕内では身長160センチ台で自身より小さい炎鵬や兄弟子の照強が活躍している。「炎鵬関みたいに相手の力を逃がす相撲じゃない」「照強関みたいにめちゃくちゃな出足があるわけじゃない」と謙虚な姿勢を崩さなかったが「2人の中間のような相撲を取れれば。2人を見習っていきたい」と、“いいとこ取り”を宣言。甘いマスクも兼ね備える23歳は「いつか同世代のトップを走っていた(大関)貴景勝関や(前頭)阿武咲関と戦ってみたい」と、目を輝かせた。