日本相撲協会は1日、大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で臨時理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて同所で行われる大相撲春場所(3月8日初日)の無観客開催を決定した。本場所の無観客開催は戦後初となった。

同協会は2月25日に、大阪市で執行部による定例会議を開催した。八角理事長(元横綱北勝海)や尾車事業部長(元大関琴風)、高島春場所担当部長(元関脇高望山)らが出席。春場所開催について「通常開催」「無観客開催」「中止」の3つの選択肢の中から、臨時理事会で最終決断をすることを決めていた。

2月26日には、安倍晋三首相がスポーツなどの自粛を要請。感染防止のため、相撲協会にもスポーツ庁からイベントの中止、延期、規模縮小を求める文書が届いた。その後も国内での感染拡大は止まらず、春場所の無観客開催を決定した。

臨時理事会後、同協会は八角理事長(元横綱北勝海)、大阪場所担当部長の高島理事(元関脇高望山)、東北医科薬科大学の感染症学特任教授で東北大学の賀来満夫名誉教授が出席し会見した。

理事会では開催中止の意見も出たが、約2時間半の議論の末、最終的に無観客開催に踏み切った。同理事長は「大阪での本場所開催を楽しみにしていた多くの皆さまにはたいへん、ご迷惑をおかけすることとなりますが、2月26日の政府要請を踏まえ、また社会全体で新型コロナウイルス感染症の拡大を防いでいることを勘案し、このような判断とさせていただきました。何とぞ、ご理解とご協力をたまわりたくお願い致します」と会見で切り出し、さらに「NHKの相撲放送は通常通り実施致しますので、相撲ファンの皆さまにはご家庭、テレビの前で相撲観戦をお楽しみいただけましたら幸いです。無観客ではありますが、力士の白熱した取組をお約束します」と語った。

無観客開催に踏み切った最大の理由を問われると、あらためて「今日、理事会でいろいろと話が出ましたが、先生の意見をうかがいながら、お客様に迷惑をかけられない」とした。観客の声援もなくモチベーションが維持しにくい力士に対しては「ひじょうに厳しい土俵であることは確かです。普段の声援されている緊張感の中で相撲を取るのと、全くお客様がいない所で相撲を取るというのは、おそらくほとんどが初めて。気持ちの高め方に関しては非常に難しいと思います。それを、いかに高めていくかが大切なことだと思います」と要望した。