新大関の朝乃山(26=高砂)が、面識のあったタレントの志村けんさんをしのんだ。

大相撲夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)に向けて3月30日から稽古を再開した朝乃山は、都内の部屋で31日、テッポウや若い衆へのぶつかり稽古などで調整。相撲は取らず「いつも通り。徐々にという感じ」と焦らずに仕上げる構えを見せた。

30日の稽古後、志村さんの訃報が飛び込んできた。昨年5月の夏場所優勝後にテレビ番組に出演した際、同じテレビ局に居合わせた志村さんと初対面。「朝乃山関、優勝おめでとう」と祝福され、2人で写真を撮ったという。「偉大な方に会えてうれしかった。しこ名を呼ばれて『おめでとう』と言われたのもすごくうれしかった」と振り返った。それだけに「まさか、その1年後にこうなるとは」と驚きを隠せなかった。

30日に地元・富山で初の感染者が判明するなど、猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。夏場所の開催については不透明だが「コロナが収まって観客が入って、歓声を聞けば大関になったと実感すると思う」と話した。31日から稽古場の木札が「関脇」から「大関」に変更。天国で見守る「偉人」のためにも、今は黙々と稽古を積み重ねる。【佐々木隆史】