大相撲の「現役最年長関取」の幕内力士、琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が20日、その“看板”を引き継いだ高校時代からの僚友だった元関脇豊ノ島の井筒親方(36=時津風)への思いや、部屋での稽古の様子といった近況を、報道陣との電話取材で明かした。

17日に現役引退と年寄襲名が決まった井筒親方とは前日19日、テレビ電話で言葉を交わしたという。「どれだけ脇を締めても入ってこられた天才的な、あのもろ差し」と評する僚友の、ホッとしたような表情を見て「力を出し切って終わってないと思い(琴奨菊の心の中で)モヤモヤ感があったけど、本人のスッキリした表情を見て納得した」という。テレビ電話での会話は、互いに家族を交えてのものだったという。

分かり合える中だからこそ、心中も察した。井筒親方の、現役最後のころのコメントを耳にし「解説者みたいになっていて、もどかしさがあった」という。自分を客観的に見る僚友の姿には「そっち(外向き)になってはいけない。ひと言で言えば“お疲れさま”なんだけど、最後まで豊ノ島を演じてほしかった」と、独特の言い回しで旧知の仲の僚友をねぎらった。福岡県出身の琴奨菊は、中学から高知県の強豪・明徳義塾に進学。全国都道府県大会ではチームメートとして優勝を分かち合った思い出など「小さい頃からよく知っていて性格も分かっている」という井筒親方との、懐かしい昔話も披露した。

千葉・松戸市内にある部屋での稽古については、力士総数約40人の大所帯のため起床時間から2班に分け、汗を流しているという。関取5人も2班に分かれ、A班が午前7時から同8時半、B班が同8時半から同10時までと極力、密を避けた班分けで行っている。各班とも最初の1時間は基礎運動中心に残り30分は関取衆が考えたメニューをこなす。「世界的にコロナの大変な影響が出始めている。あらためて自分を見直す時間になる」という。週に数日は2部練習を取り入れ、変化をつけているため「ストレスは感じない」。夏場所開催の可否も決まらず、悶々とする日々が続くが「粛々と淡々と今できることをやる。やっていることは裏切らないと思う。自分の目線を内に向けて。外に向けたらいろいろな情報が入って不安になるから。相撲の動きの中では弱いところがごまかせても、筋トレをするとモロに(弱い部分が)分かる。そこはノビしろがあるということ」など、独特な言い回しで現状を乗り切る姿勢を示した。