24日に初日を予定していた、両国国技館開催の大相撲夏場所の中止決定から一夜明けた5日、日刊スポーツ評論家の高砂親方(元大関朝潮)が電話取材に応じた。師匠としての心構え、力士への配慮、部屋での新型コロナウイルス感染予防対策などを聞いた。

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八百長問題の影響を受けた11年春場所以来、9年ぶりの本場所中止。この現実をどう受け止めたのか。

高砂親方 あの時は協会内の問題。内部のうみを出す必要があった。今回の状況は日本全国、全世界の問題。協会内から感染者が出た、出ないに関係なく政府方針に従うのは当然だ。

稽古も満足に出来ない状況はさぞ、もどかしい。

高砂親方 稽古場は窓や扉を開けて換気をよくしている。あとはこれまで以上に検温、手洗い、うがいなど感染予防を徹底する。あまり神経質すぎて精神が病んでしまうのは避けたい。

毎日の稽古もメリハリをつける必要がある。

高砂親方 土曜日は四股だけ、日曜日は完全休養にした。稽古時間も2時間以内。長期戦を見据えてやればいい。この状況だから疲労がたまると体力を奪われ抵抗力が低くなり感染リスクも高まる。短時間の稽古を集中してやればいい。

「力士にとっては稽古のうち」ともされる食事にも気を配る。

高砂親方 大量の食材は女房が業務用スーパーに買い出しに行っている。若い衆が近所のスーパーに行く時は外出時間もチェックする。メニューに納豆やキムチ鍋が多くなっているね。飽きがこないように力士の要望でピザの出前や、ドーナツも頼んでいる。これは私のポケットマネーで(笑い)。部屋全員で戦うためにも何とか乗り切りたい。

朝乃山は新大関の場所だっただけに残念だ。

高砂親方 本人は「ひまでありがたい」と言っているようだ。余計な神経を使わずに済むから。そうやってプラスに考えればいい。

当面、目指すところはどこに置くのか。

高砂親方 7月場所の無観客開催もあるが、9月場所の通常開催だろう。相撲ファンあっての大相撲なんだから。(日刊スポーツ評論家)