日本相撲協会は1日、元十両の三段目徳真鵬(本名・白塚元久、36=木瀬)が引退届を提出し、受理されたことを発表した。

徳真鵬は現役最後の場所と位置づけた夏場所で相撲を取りきり、場所後に断髪式を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止に。不完全燃焼の形となったが、電話取材に応じた徳真鵬は「最後に(相撲を)取れたら良かったが、コロナの影響で稽古もできていなかった。7月から母校で働くことにもなっていたので」と説明。土俵で稽古を行ったのは春場所前の3月上旬が最後だった。今後は母校、朝日大の職員として第2の人生をスタートさせる。断髪式の予定は未定。

三重県松阪市出身の徳真鵬は朝日大を経て、07年春場所に初土俵を踏んだ。「白塚」から「徳真鵬」にしこ名を改名した09年春場所で、初の幕下優勝を飾ったことが1番の思い出。体重200キロ超える体格を生かして、09年秋場所に新十両昇進を果たした。朝日大からは初の関取。13年の現役生活で十両在位は27場所を数えた。「15日間、化粧まわしを締めて土俵に上がるのは夢のよう。今となってはありがたいことだった」。15年九州場所を最後に関取の座から遠ざかり、西幕下6枚目の昨年春場所で1勝6敗と大負け。年齢も35歳となり「そろそろかな」と引退の決意を固め始めた。

母校の朝日大には7月の名古屋場所の前後に、毎年1度は顔を出していた。昨年引退の意向を伝え、その後、話が進んで職員として母校に戻ることになった。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)には「十両に上がって、幕下に落ちてからも一生懸命頑張っていたな」とねぎらいの言葉をかけられたという。

大学職員として「学生を支援していく」一方、相撲部のサポートにも携わる予定で、ゆくゆくは指導者として角界に教え子を送り出したいという。「自分は関取になったが、幕内に上がることができなかった。関取、幕内に上がるような力士を育てたい」。新たな夢が膨らんでいる。

力士生活13年間で1度も休場をすることなく走り続けた36歳は、自らのツイッターでも引退を報告した。「休場することなく相撲を取れたことは、両親をはじめ応援してくださった方々のおかげです。ありがとうございました。今後は、食べ過ぎに注意しておいしかった物を中心にツイートしたいと思います。今後もよろしくお願いいたします」。愛嬌(あいきょう)たっぷりの投稿で、大相撲ファンに感謝と別れを伝えた。【佐藤礼征】