厳戒態勢の中、いよいよ大相撲が始まる。7月場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた18日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。

力士の参加、一般公開はなく、出席者も限定される中、本場所の安全を祈願。新型コロナウイルスの影響で無観客で開催された3月の春場所、中止となった5月の夏場所を経て、協会の尾車事業部長(元大関琴風)が「命懸けの場所」と緊張感を強める15日間が幕を開ける。

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静まり返った館内で、土俵祭りが始まった。八角理事長(元横綱北勝海)をはじめ、出席した審判部の親方衆らはマスクを着用し、隣との間隔を空けて椅子に着席。通常は出席する三役以上の力士は不参加で、行司も資格者のみの参加。一般公開はなし。徹底した新型コロナの感染防止策が敷かれた中で、土俵の安全を祈願した。

コロナ禍の中で開催される7月場所。力士は支度部屋でもマスク着用が必須で、上がり座敷にはアクリル板を立てて座る場所を仕切るなど、いくつもの予防策が敷かれる。報道陣の電話取材に応じた尾車事業部長(元大関琴風)は「厳戒態勢みたいな感じ。命懸けの場所というような雰囲気」と緊張感を強めた。土俵祭り後には執行部による会議を行い、感染防止策の再確認を行ったという。「感染者を出すようなことがあってはいけない。緊張感でいっぱいです」と明かした。

観客への注意も忘れない。マスク着用や大声での声援を控える等の注意事項が書かれた看板が、館内の至る所に設置された。1日の観客上限数は約2500人。満員時の4分の1程度だが当然、油断はない。「感染症の専門家の先生と何度も意見交換をしながら準備を進めてきた。コロナ禍で物事を進めていくには、それぐらいの注意喚起が必要」と強調した。

力士も、相撲ファンも待ちに待った本場所。新大関の朝乃山や序二段から史上初の再入幕を果たした照ノ富士など、注目力士は多数いる。尾車事業部長は「会場に足を運んでいただくお客様、テレビで観戦していただくお客様に、勇気とか希望を与えられるような場所になったらいい」と切に願った。異例な場所が、いよいよ始まる。【佐々木隆史】

<7月場所中の主な感染防止策>

▽力士らは支度部屋でもマスク着用。準備運動時も。

▽支度部屋ではアクリル板で各関取の間を仕切る。

▽花道奥では足元シールを貼り密集を避ける。

▽取組を行う力士は支度部屋を出たらマスクを外し、取組後は支度部屋に入る際に新しいマスクをつける。

▽1日当たりの総観客数を約2500人に縮小。

▽全ての4人マス席を1人ずつで利用。

▽観客は入場時に取組表を自ら取り、手を消毒する。

▽感染者発生の場合に備え、入場客には入場券の14日間保管や接触確認アプリへの登録を促進する。

▽観戦後は時間差退場。

▽アルコール類の販売中止。食事の販売も最小限。

▽開場時間を午前8時から午後1時に変更。

▽接触を伴うファンサービスを中止。