してやったりだった。立った瞬間、照強は朝乃山の視界から消えた。潜って左足にしがみつくと、一気になぎ倒した。

初の結びにも「緊張感はなかった。大関の方が緊張していたかも」。優勝を争う相手の心情も読み、作戦を成功させた。

前夜、付け人の錦富士と作戦を練ったという。「悩んだが『いけるんじゃないですか』と言われて思い切りいきました」。直前に単独トップだった照ノ富士に2敗目の土がついた。「照ノ富士関が負けたんで、もう1度単独首位に立たせてやろうと。それが実現できてよかった」と言った。

自身の勝ち越しもかかった一番だったが「自分の星どうこうより、援護射撃の気持ちが強かった。優勝してほしいですね。伊勢ケ浜軍団として援護できればと」。八角理事長が「いい度胸している」とほめた169センチ、120キロの小兵が大仕事をやってのけた。