大相撲の元前頭蔵玉錦(ざおうにしき)の安達敏正(あだち・としまさ)さんの葬儀・告別式が13日、東京・葛飾区の千代田鎌倉ホールで営まれた。

時津風親方(元前頭時津海)、井筒親方(元関脇豊ノ島)や時津風部屋の若い衆、親交の深かった大島親方(元関脇魁輝)ら、前日12日の通夜を含めてのべ180人が参列。喪主の妻とき子さんが弔辞を読み上げ、別れを告げた。

安達さんは元横綱柏戸の鏡山親方の内弟子として伊勢ノ海部屋に入門し、70年秋場所初土俵。翌年、鏡山部屋の創設にともなって移籍した。最高位は前頭筆頭。83年初場所限りで現役を退き、引退後は親方として後進の指導にあたり、最後は武隈親方として時津風部屋に在籍した。

この日は館内の葬儀場とは別室に、現役時代の写真や化粧まわし、最高位の前頭筆頭だった81年初場所の番付表などが展示された。現役時代の映像も流され、同時期に活躍した大島親方も「懐かしいな。(対戦時は)のらりくらりとはいかなかったな」と懐かしんだ。

新型コロナウイルス感染予防の観点から関取衆は参列しなかったが、井筒親方は2日連続で参列した。井筒親方は02年初場所が初土俵で、安達さんは先代武隈親方として同年に鏡山部屋から転籍してきたため、20年近い付き合いだった。井筒親方は7月場所中にお見舞いに訪れていたことを明かし「そのときもしゃべりづらそうにしていた。『(時津風部屋の力士は)みんな頑張っています。正代もいいですよ。いい成績を残すので、みんなのことを見てやってください』と伝えました。そのときにぐっと手を握ってくれて。(千秋楽まで)持たないかもしれないと聞いていたが、今場所を見届けてくれた。そこは力士だなと感じましたね」と振り返った。