大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」が10月30日から公開されることが31日、分かった。東京・墨田区のTOHOシネマズ錦糸町で10月30日から、中野区のポレポレ東中野で同月31日で始まり、ほかに全国で順次公開される。制作会社によると、過去には初代若乃花など特定の力士に焦点をあてたドキュメンタリー映画はあるものの、大相撲全体をとらえる映画は初めて。俳優の遠藤憲一がナレーションを務める。

18年12月から19年6月の半年間、元大関豪栄道(現武隈親方)らが在籍する境川部屋と、前頭竜電らが在籍する高田川部屋に密着した。朝稽古や独特な相撲部屋での日常生活、本場所での激闘などを歴史、文化のさまざまな角度からひもとく。相撲漫画家の琴剣淳弥さん(60)もコーディネートプロデューサーとして作品に加わり、劇中画を描き、自身も本編に登場する。

メガホンを取ったのは「マツコの知らない世界」をはじめ長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治氏。坂田氏は「映画完成直後、新型ウイルスにより世界は変わり、大相撲の風景も変わりました。あの数カ月間、力士たちの激闘と観客の大声援を両国国技館で撮影できたのは偶然の奇跡。大迫力の大相撲の感動と、力士たちのドラマをぜひ劇場で体感してほしいです」とコメントした。

武隈親方は「相撲は、裸一つでぶつかり合う、シンプルでわかりやすい究極の闘いです。それが人の心を揺さぶり、奮い立たせてくれるのだと思います。若い世代にも、日本の伝統を守っている力士の姿を、劇場で見てほしいです」と呼びかけた。

竜電は「長期間の密着は初めての経験でした。所作の美しさ、力士の個性あふれる着物姿、武器を持たず自分の体だけで勝負する、語り尽くせない相撲の魅力を、相撲ファンはじめ、まだ相撲を知らない方や子どもたちに、映画を通じて感じてほしいです」と話した。

琴剣さんは「大相撲を体験した者としてお薦めできる映画。相撲界の“伝統”“厳しさ”の映像美そして音響の106分。この映画を見終わったあと、きっとあなたも国技館へ行きたくなっているでしょう」とコメントした。