大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が、恩返しの優勝を目指す。

5日、都内の高砂部屋で秋場所後初となる朝稽古を行った。この日からは、4月中旬ごろから新型コロナウイルスの影響で禁止となっていた報道陣による稽古取材が解禁。部屋に集まった報道陣の前で、四股やすり足、テッポウなどで汗を流した。9月27日に千秋楽を迎えた秋場所以降の1週間について「変わったことはしてない。しっかり休みました」と休養は十分のようだった。

約1カ月後に初日を迎える11月場所(8日初日、東京・両国国技館)後に、師匠の高砂親方(元大関朝潮)が日本相撲協会の定年を迎える。それだけに「一番は優勝して定年を迎えて欲しい」と19年夏場所以来2度目の優勝で、師匠の定年に花を添える。また「自分だけではなくて、部屋のみんなが好成績を残して定年を迎えられればいい。師匠の教えを思い出して、11月場所に向けて取り組みたい」と言葉に力を込めた。

新たな刺激も受けた。秋場所で初優勝を果たした正代が、同場所後に新大関に昇進。同場所14日目の対戦で立ち合い負けして、のど輪でひっくり返されたのは苦い思い出だ。「久しぶりに圧倒された。負け方がひどくてすごく悔しかった。正代関が大関になったのが悔しい」と“先輩大関”として壁になれなかったのを悔やんだ。ただ「いい意味で刺激になる。負けたくない気持ちも出てくる」と気合を入れ直し、賜杯を狙う。【佐々木隆史】