コロナ禍による大会中止で不在となっていた令和2年度の中学横綱と高校横綱が、2021年の元日に決まる。日本相撲連盟と立飛ホールディングス(HD)は10日、都内で会見を行い、新型コロナウイルスの感染拡大で今年中止になった相撲の全国高校選手権と全国中学生選手権を「立川立飛・元日相撲」として、来年1月1日に東京・立川市のグリーンスプリングス内ステージガーデンで開催すると発表した。

全国都道府県から中学生各2人、高校生各3人の代表選手が出場してトーナメント戦で横綱の座を争う。会見に出席した日本相撲連盟の安井和男専務理事は「昨日までに予備調査をして選手派遣できないのは中学5県、高校2県で、主な理由は学校の許可が出なかったというものです。それ以外は参加の意向で、すでに半分が代表選手を決めています」と語った。

今大会は元NHKアナウンサーで、現在は立飛HDのスポーツプロデューサーの刈屋富士雄氏が中心になって企画した。今春、8月16日にアリーナ立川立飛で開催される予定だったアマチュア相撲の国際大会の準備をしていた刈屋氏のもとに「中止になったインターハイの代替大会を企画してもらえないか」という依頼が複数の相撲関係者から届いたのが発端だった。

「立飛HDの村山(正道)社長に相談したら“やろう”と言っていただき、安井専務理事に相談して状況を見ながら進めることになった。感染状況や他のスポーツ大会の動向などを見て、大相撲が観客を2500人から5000人に増やし、大学もインカレを開催し、これならやれると開催に踏み切った」と刈屋氏は実現に至る経緯を明かした。

再び新型コロナウイルスが感染拡大している中、徹底した感染対策をとる。会場はコンサートやミュージカルなどを開催してきた多機能ホールで、1階のアリーナ席を取り払って土俵をつくるが、ステージ奥の壁が自由に開閉できる。「壁を開けると屋内と屋外がつながるので空気の入れ換えができる。観客は2階と3階から観戦してもらう」と立飛HDの藤本勇取締役は説明する。

一般の観客は入れず、来場は選手の家族や関係者などに限定し、収容2500人の3分の1の約800人にとどめる。来場者にはチップ入りカードを発行して場内での行動が把握できるようにして、陽性患者が出たときに速やかに濃厚接触者を特定できるようにするという。「花道は一方通行。水入りは通常の5分を3分に短くする。支度部屋ではシャワーを使わず、足だけ洗う」(安井専務理事)という徹底ぶりだ。

全取り組みが実況付きのライブ配信される予定で、当日の午後3~4時にTOKYO MXテレビで生中継される。実況も担当する刈屋氏は「日本の相撲は疫病や大災害などからの終息再生復興を神様に祈願して神事相撲として全国に広まり、継承されてきた。コロナ禍に苦しんだ2020年が終わり、新しい1年がスタートする日に、若者が集まり全力で競い合う新たな一歩をぜひ発信したい」。“元日相撲”は目標を奪われた中高生の希望の光であり、コロナ終息への祈願でもある。