大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が10日、日本国籍を取得したことについて都内の部屋で報道陣の代表取材に応じ「良かったなという、それだけですね今は。結構かなり長かったので、やっとかあという感じ」と心境を明かした。10日付の官報で日本国籍を取得したことが告示。年寄名跡の襲名には日本国籍が必要で、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得た。

手続きには2年半の時間を要したという。「ひとつ悩みの種が消えたので、すっきりとまた相撲に集中できると思います」。名前は「マンガラジャラブ・アナンダ」のまま。「最初はやっぱり日本の名前を考えないといけないのかなと考えていたんですけど、その後で聞いたら『そのままでもいいんだよ』と言われて、じゃあそのままでって」。

日本国籍を取得した理由については「16歳で日本に来て相撲のことしか知らないし、相撲のおかげでここまでやってこられた。その恩返しをやっぱりしないといけない。次のいい力士を育ててね、相撲協会に恩返しをできるようにと思ったから、そういう決断に至った」と説明した。ゆくゆくは部屋を持ちたいか問われると「それはまだまだ。今はとりあえず、こうなった(国籍を取得した)ことで先のことを考えられると思う」と話すにとどめた。

鶴竜はこの日、稽古後に東京・両国国技館に行き、八角理事長(元横綱北勝海)にあいさつをしたという。3場所連続休場となった11月場所後の横綱審議委員会で「注意」を決議された。「(理事長には)次にしっかり頑張るようにと言われた」。再起を目指す初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)は、「日本人鶴竜」として初めての場所になる。

◆親方になる条件 日本国籍を有することと、現役時代の実績が求められる。年寄を襲名して新たに部屋を興すには<1>横綱、大関経験者<2>三役通算25場所以上<3>幕内通算60場所以上。部屋の継承は<1>幕内通算在位12場所以上など。部屋付きの親方は<1>小結以上<2>幕内通算在位20場所以上<3>十両以上の通算在位30場所。また引退後、横綱は5年、大関は3年に限り現役時のしこ名で年寄として協会に残れる。